特定商取引

特定商取引法の行政規制



特定商取引法は、消費者への適切な情報提供の観点から、上述した取引類型に応じ、以下のような規制を行っております



氏名等の明示の義務づけ



事業者は、勧誘の開始前に、事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げることを義務づけています。ECサイトの場合は、ECサイトにこれらの内容を表記することになります。



不当な勧誘行為の禁止



事実と異なる情報の告知や、不安をあおる告知などの不当な勧誘行為は禁止されています。通常、必要とされる商品の量やサービス回数を著しく超えると知りながらの販売も不当な勧誘行為です。



広告規制



事業者が広告を出稿する際には、重要事項の表示を義務づけるとともに、虚偽や誇大な広告を禁止しています。ECサイトは実店舗とは異なり、実物を確認できないからこそ誠実な広告を心掛けましょう。



書面交付義務



事業者は、契約締結時等の際に重要事項を記載した書面を消費者に交付することが義務づけられています。重要事項とは、商品やサービスなどの質や用途に関する内容や、対価などの取引条件などが該当します。



特定商取引法の民事ルール



特定商取引法の民事ルールは、消費者と事業者の取り引きをスムーズにし、トラブルを防ぐことを目的としています。消費者による契約の解除や取り消しなどを認め、事業者からの損害賠償請求を制限する内容です。特定商取引法による民事ルールには、以下の3つがあります。



クーリング・オフ



クーリング・オフとは、商品やサービスの申込みまたは契約を交わし、契約書などの法定書類を受け取った後でも、一定の期間内であれば無条件で解約できるというルールです。クーリング・オフが可能な期間は業態によって異なりますが、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入は8日間、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引の場合は20日間と定められています。

ただし、通信販売にはこの規定は適用されないため、ECサイトにはクーリング・オフに関する規定はありませんが、特定商取引法第15条の3の規定がございますので、当該規定の内容には注意しましょう。



意思表示の取り消し



事業者が間違った情報を提示したり、伝えるべきことを故意に伝えなかったりしたために消費者の判断を誤らせた場合には、消費者は「意思表示の取り消し」が認められています。意思表示の取り消しは、メール等で購入や契約の取り消しを求めることで行えます。



損害賠償額等の額の制限



特定商取引法は、通信販売による契約が解除または取り消された場合について、損害賠償請求額の上限を定めていません。

ただし、特定継続的役務提供については、サービスの解約による損害賠償請求額に上限を設けています。特定継続的役務提供は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が指定されています。語学教室の6ヵ月コースや家庭教師の1年コースなど、長期の契約を途中解約した場合、事業者側から高額な損害賠償を請求されることを防ぐのが目的であり、上限額はサービスによって決められており、サービスの利用前と利用後で異なります。





特定商取引法を違反した場合の罰則



特定商取引法では、違反の内容によって異なりますが、罰則も規定されています。対象が個人の場合、科せられる可能性がある刑罰は、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方です。刑罰の対象が法人の場合は、最大で3億円以下の罰金が科される可能性があります。



刑罰以外にも発せられる可能性があるのが、行政処分です。行政処分には、問題がある部分の改善を命じる「指示」や、最長2年間にわたって業務を禁じられる「業務停止命令」、業務停止期間中に指名された個人が同業の会社を立ち上げることを禁ずる「業務禁止命令」があります。



また、特定商取引法に基づく行政処分が執行された場合、事業者名や処分内容などの情報が公表されます。





特定商取引法に基づく表記の書き方



特定商取引法に基づく表記は、ECサイトには必須の情報です。特定商取引法に基づく表記を掲載する場合は、ECサイト内に店舗運営会社に関するページを作り、ヘッダーやフッターなどにリンクを設置することで、消費者にわかりやすく情報を伝えます。

ここでは、特定商取引法に基づく表記の書き方と一部の項目についてご説明しましょう。なお、詳しくは、下記の消費者庁のサイト等をご参照ください。

https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/



事業者の氏名(名称)等



特定商取引法に基づく表記として、事業者の氏名(名称)を表記します。事業者が法人の場合は、登記簿上の名称を記載する必要があり、通称や屋号、サイト名は認められません。また、法人の場合、代表者の氏名もしくは通信販売の業務の責任者の氏名を記載する必要があります。他方、事業者が個人事業者の場合、戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号を記載する必要があります。



事業者の住所、電話番号



事業者の住所と電話番号も、特定商取引法に基づく表記として記載が必要です。住所については、個人事業者、法人のいずれにおいても、現に活動している住所(法人の場合には、通常、登記簿上の住所と同じ)を正確に(住所の番地を省略したりすることはできません)記載する必要がありますが、レンタルオフィスやバーチャルオフィスなどの住所を表記することもできます。電話番号については、確実に連絡が取れる番号を記載する必要があります。また、電話番号のほか、サイトのURLやメールアドレス(電子メールで広告をするときは、電子メールアドレスの記載は必須となります)、対応可能な時間帯も明記すると、消費者からの信頼を得られやすいでしょう。



商品の販売価格



特定商取引法に基づく表記として、商品の販売価格に加えて、送料(送料が別に記載されていない場合、送料は販売価格に含まれていると推定されることになります)や手数料、ラッピング代など、消費者が負担する費用を表記します。税込金額が明確にわかるように注意しましょう。送料が発送先によって異なる場合は、表にまとめると見やすくなります。商品の販売価格や送料などが各商品のページに表記されていれば、特定商取引法に基づく表記では省略しても問題ありません。



支払い方法と支払いの時期



特定商取引法に基づく表記として、支払い方法と支払いの時期を表記します。支払い方法は、利用できるすべての方法の明示が必要です。複数の支払い方法がある場合、いつ支払いが発生するのかを明記しておきましょう。



商品の引渡時期



特定商取引法に基づく表記として、商品の引渡時期を表記します。商品の引渡時期とは、消費者からの注文を受けた後に、商品が消費者の元に届く時期をいい、商品の引渡時期については、期間または期限を表示することが必要です。



返品や交換についての規定



特定商取引法に基づく表記として、返品や交換についての規定を表記します。ECサイトはクーリング・オフに関する規定はありませんが、特定商取引法第15条の3は通信販売における売買契約の解除等について規定があります。ただし、この条項は、事業者が契約の申込みの撤回や解除につき、明瞭な表示により特約を明記していた場合、その特約に従うことになるので、特約を定める場合は、ECサイトの規定に沿って、返品や交換に応じる条件、送料をどちらが負担するかなどを明瞭に表記しましょう。



そのほか、商品に応じた情報



そのほか、特定商取引法に基づく表記として、商品に応じて必要な情報を表記します。

例えば、ゲームソフトやPCアプリを販売する場合は、対応機種や動作環境の表示が必要です。許可や免許が必要な商品を扱う場合には、その内容も表記しておきます。





特定商取引法に基づく表記の例



特定商取引法に基づく表記の例をまとめると、以下のようになります。こちらを参考に、ECサイトの規定に沿った情報を表記してください。

※以下はあくまで参考例となりますので、下記のサイトなどをご参照いただき、各事業者様のサービスに合わせて表記事項をご作成ください。

https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/advertising.html







販売業者
株式会社◯◯


代表責任者
◯◯◯◯


所在地
〒◯◯◯-◯◯◯◯

東京都◯◯区◯◯ ◯-◯-◯


電話番号
03-◯◯◯◯-◯◯◯◯


電話受付時間
8:00〜17:00


メールアドレス
◯◯◯◯@◯◯◯◯.com


サイトURL
https://www.◯◯◯◯.com


販売価格
各商品の紹介ページに記載している価格とします。


商品代金以外に必要な料金
消費税、送料(全国一律◯◯◯円)

※◯◯◯円以上購入すれば送料無料、ラッピング代◯◯◯円(希望者のみ)


引き渡し時期
ご注文から◯日以内に発送します。


お支払い方法とお支払いの時期
クレジットカード決済:ご注文時にお支払いが確定します。

代金引換:代金は商品お届け時、配送員に現金でお支払いください。

コンビニ決済:ご注文から◯日以内に、コンビニでお支払いください。


返品・交換・キャンセルについて
商品発送後の返品・交換・キャンセルには、基本的に対応しておりません。

商品に欠陥がある場合のみ交換が可能ですのでご連絡ください。


返品期限
商品出荷から◯日以内にご連絡ください。


返品送料
商品に欠陥がある場合は、弊社で負担いたします。

それ以外は、お客さまのご負担になります。


古物商許可証
東京都【許可番号】第◯◯◯◯号【販売管理者】◯◯◯◯